相続税の対象財産
相続案件のご相談を受ける場合、相続税の問題は切っても切り離せない関係にあります。
実際、お客様とお話ししていると相続税についてのご質問を受けることもあります。
今日は、そもそも相続税の対象となる財産について書いていきたいと思います。
相続の計算上、課税の対象となる財産として主なものはいかのものになります。
1 被相続人が亡くなった時点に所有していた財産
①土地、②建物、③株式や公社債などの有価証券、④預貯金、⑤現金などのほか、金銭に見積もることができる全ての財産が相続税の課税対象となります。
2 みなし相続財産
被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「退職金」などは、相続によって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。ただし、「生命保険金」や「退職金」のうち、「500万円×法定相続人数」までは非課税となります。
3 被相続人から取得した相続時精算課税適用財産
相続時精算課税とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から18歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。被相続人から生前に贈与を受け、贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合、その財産は相続税の課税対象となります。この場合、贈与の時の価額を相続価格に加算します。
4 被相続人から相続開始前3年以内に取得した暦年課税適用財産
被相続人から相続などによって財産を取得した人が、被相続人が亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産は、相続税の課税対象となります。その場合、加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。3年以内であれば贈与税がかかっていたかどうかに関係なく加算されることになるので、贈与税の基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も加算されることになることには注意が必要です。
5 相続財産の対象とならない財産
一方で、相続税の対象とならない財産もあります。
例えば、墓地や墓石、仏壇、仏具等礼拝に使用する物は相続税の対象とはなりません。ただし、仏具等でも高価なものであり投資的価値の高いものは課税の対象となりますので注意が必要です。また、相続や遺贈によって取得した財産を相続税の申告期限までに地方公共団体に寄附したものについても相続税はかかりません。そのほか心身障害者共済制度の給付金を受ける権利や、公益事業のために使用される財産についても相続税は非課税となります。
遺産分割案件においても、相続税の申告が必要になるか、必要だとして相続税はいくらになるかは良く問題になります。
相続についてお悩みがある場合、相続税にも詳しい弁護士に相談されてみてはいかがでしょうか。