マンションの共用部分

 

ずいぶん前に、区分所有法の専有部分について記事を書き、その際に「次回は共用部分について解説します」と書いておりましたが、なかなか共用部分の記事を書けないままでおりました・・・。

 すっかり時間が空いてしまいましたが、今回はマンションの「共用部分」について解説します。

 

1 共用部分の種類

 区分所有法上、「共用部分」は3つのものが定義されています。

 1つめは、専有部分以外の建物の部分です。例えば、マンションの廊下や階段といった部分が該当します。

 2つめは、建物の附属物のうち専有部分に属しないものです。これは建物に附属し、効用上建物と一体となっているものを指し、例えば、宅配ボックスや電気設備、給水・排水設備等が挙げられます。

 3つめが、規約により共用部分とされた附属の建物です。附属建物とは、主たる建物とは別の建物であるものの、主たる建物の効用を高める関係にあるものを指します。例えば、主たる建物とは別に建てられている管理棟や集会室等が挙げられます。

 

 さて、共用部分の定義を3つを書いてみたものの、一読しただけだと分かりにくいですよね、、、。

 私もマンション管理士試験を受験する際に、共用部分の定義を勉強しましたが、なかなか定義だけではイメージし辛く、覚えるのに苦労しました、、、。

 区分所有法上の定義を読むだけでは分かりにくい部分ですので、具体例と関連付けたほうが覚えやすいと思います。

 

2 専有部分と共用部分の区別の意味

 専有部分と共用部分の区別は、維持管理の責任や費用負担を誰が負うのかという形で問題となることが多いです。

 すなわち、専有部分についての管理は、専有部分を所有する区分所有者が行い、そのための費用も当該区分所有者が負担することになります。

 一方で共用部分の管理については、区分所有者全員で管理し、そのための費用についても持分に応じて区分所有者が負担することになります(ただし、規約に別段の定めがある場合には、規約に従います。)

 例えば、分譲マンションの上の部屋と下の部屋の間に通っている排水管(下の階の天井裏に通っていた排水管)の修繕費用の負担をめぐって争われた事例では、排水管の構造や設置場所に照らし、当該排水管は専有部分に属しない建物の附属物に当たると判断され共用部分とされました(最高裁平成12年3月21日第三小法廷判決)。

 判例上、専有部分か共用部分かは、区分所有法上の定義を出発点としながらも、争われている箇所の構造や位置等を検討し、個別具体的に判断されています。

 

 東京は特に区分マンションが多い場所であり、マンションの修繕トラブルも多いエリアです。区分マンションの管理や修繕に関するトラブルでお悩みの方は、不動産の分野に強い弁護士に相談することをお勧めします。

 


 

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