遺言執行者
遺言作成の際のポイントの記事を書いた際に、遺言執行者について触れたのですが、遺言執行者とは誰がどのようになるのでしょう。今日は遺言執行者に焦点を当てて解説します。
1 遺言執行者の資格要件
民法上では、未成年者と破産者も遺言執行者になることはできないとされています(民法1009条)。
遺言執行者は遺言者の財産を管理する権利・義務を有しますので、遺言執行者となる人には、完全な行為能力(単独で確定的に有効な法律行為をする能力をいいます)が求められていますが、その以外には特に明文上の制限はありません。遺言執行者には、法人もなることができますし、相続人や受遺者がなることもできます。
2 遺言による指定
遺言者が遺言執行者を指定する場合には、必ず遺言によらなければなりません。遺言で遺言執行者を定める場合、遺言者が直接遺言執行者を指定することは勿論、遺言執行者の指定を第三者に委託するという定め方もできます(民法1006条1項・2項)
3 家庭裁判所による選任
遺言書に遺言執行者が定められていない場合や遺言執行者が定められていたものの遺言執行者が死亡した場合等には、利害関係人が請求することにより、相続開始時の家庭裁判所が遺言執行者を定めることとなります。
遺言執行者の選任の申立があった場合、家庭裁判所は、候補者について、欠格事由の有無、適格性、就職の意向などを審理することとなります。家庭裁判所が選任の審判をするには、候補者の意見を聴かなければならないとされており、実務上は家庭裁判所から照会書が遺言執行者の候補者と申立人に対して送られる運用が採られています。
家庭裁判所による候補者の適否についての検討が完了すると、遺言執行者選任審判がなされます。遺言執行者選任の申し立てを認容する審判の場合には、申立人および遺言執行者に対して審判書の謄本が送付されます。一方で、申立を却下する審判の場合には、申立人に対する送達の方法により告知されることになります。この申立を却下した審判に対しては、申立人その他の利害関係人から即時抗告の申立をすることができます。
遺言執行者とはなかなか普段聞きなれない言葉だと思います。遺言執行者の件も含め、遺言のことでお悩みでしたら弁護士にご相談下さい。