遺留分減殺請求と寄与分との関係
最近は気温が若干下がってきまして、少しずつ秋めいてきましたね。
今日は寄与分と遺留分減殺請求との関係について書いていこうと思います。
1 遺留分を侵害する寄与分
寄与分とは、相続人が生前の被相続人に対して特別な貢献した場合に、相続人の具体的相続分を増やす制度のことをいいます。この寄与分と遺留分減殺請求との関係について、実は民法で明文の規定はありません。
それでは、遺留分減請求権と寄与分との関係はどのように規律されるのでしょうか。
まず、寄与分を定める際に、遺留分を侵害するような寄与分を定めてはいいのでしょうか。民法上は、寄与分の額について上限の定めがないため、他の相続人の遺留分を侵害するような寄与分の定めをすることも可能です。ただし、裁判例(東京高裁平成3年12月24日)では、寄与分を定めるにあたっては、他の相続人の遺留分を侵害する結果となるかどうかについて考慮しなければならないと指摘しており、寄与分を定めるにあたっても遺留分に対して配慮が必要であるとしています。
2 遺留分減殺請求に対する寄与分の主張
次に、遺留分減殺請求に対する寄与分の主張はできるのでしょうか。
結論としては、することはできません。民法上、寄与分を理由に遺留分減殺請求を拒否する旨の定めはなく、遺留分減殺請求に対して寄与分を主張することに法的な根拠はないことになります。
3 寄与分に対する遺留分減殺請求権
遺留分減殺請求は、受遺者又は受贈者に対して行われる、すなわち、遺贈や贈与に対して行われるものとされています。寄与分は、具体的な相続分を修正するものではありますが、それは遺贈や贈与ではありませんので、遺留分減殺請求の対象外ということになります。