祭祀財産の承継
相続のご相談を受ける中で、「お墓の管理するのは誰か」について相続人間で揉めているケースがあります。今日はお墓の管理について、法律上はどのように規律されているのか解説します。
1 民法上、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、祖先の祭祀の主宰者に帰属する」とされています。
ここでの「系譜」とは、家系図などを指します。また、「祭具」とは、位牌や仏壇などが当たります。「墳墓」とは墓石や墓碑のことを指します。
そして、これら系譜、祭具、墳墓(これらを総称して「祭祀財産」といいます。「祭祀財産」の所有権は「祭祀の主宰者に帰属する」とされていますので、祭祀財産は遺産分割の対象となりません。つまり、例えば、お墓や位牌は遺産分割の対象にはならず、「祭祀の主宰者」のものとされているのです。
2 では、「祭祀の主宰者」とは誰になるのでしょうか。民法では、第1に被相続人の指定により、第2に慣習により、第3に家庭裁判所の審判によって定めるとされています。
3 このように民法上、祭祀財産は遺産に含まれず、相続による承継とは別の規律をしています。ただし、実務上は、相続人全員で争いがない場合には、遺産分割調停の中で祭祀承継者を指定して、祭祀財産を取得させることも可能とされています。
祭祀財産の承継は、少し特殊な規律がされていますので注意が必要です。お墓の管理等についても相続トラブルが生じた場合には、弁護士に相談してみることをお勧めします。