弁護士として相続案件に関わっていますと不動産の評価が争点となることも多いです。その場合には、不動産会社に査定を依頼することが多いですが、この査定を依頼するとき
・・・(続きはこちら) 弁護士として相続案件に関わっていますと不動産の評価が争点となることも多いです。その場合には、不動産会社に査定を依頼することが多いですが、この査定を依頼するときや査定書を見るときに注意すべきポイントがあります。
第1に、対象不動産の売却先として誰を想定しているのかによって価格に違いが生じます。例えば、土地付きの戸建の査定をするとした場合、不動産会社に売却する場合と一般個人に売却する場合とが想定されます。
不動産会社の場合、建物を壊すなりリフォームするなりして、最終的には販売して利益を得ることが目的であることが多いですので、不動産会社が最終的に得られる利益も考慮して、仕入をする価格 (売主側から見ると、売却価格)が決まります。
一方で、一般個人に売却する場合には、転売や再販することは通常は考えられず、建物を壊して新しく自分用に建物を建てるか、建物は壊さずに中古物件として購入するケースが多いです。いずれにせよ、不動産会社とは異なり、自分で使うことが想定されます。
そうすると、自分で気に入った物件であれば、予算が許す限り手に入れたいと思いますから、(一般的には事業利益を考慮して価格を決める)不動産会社と比較すると高く価格が付くケースが多いです。
第2に想定する売却条件も重要です。上記と同様に土地付きの戸建で考えると、建物付き(現況有姿)で売却するのか、更地にしてから売却するかによって、買主が建物の解体費を支払わなくてよいかどうかに違いが生じますので、当然価格も異なってきます。また、契約不適合責任を免責するのか、売却前に確定測量をするべきか、隣地から越境物があった場合に解消するべきか等の条件の有無によっても価格は左右されます。
なお、売却先が不動産会社の場合、上記条件面での交渉は柔軟に対応してくれるケースがあります(例えば、契約不適合責任は免責にしてもられる等)。一方で、売却先が一般個人の場合には、不動産会社のような不動産のプロではないので、不動産会社のような条件面での交渉は難しいことが多いです。
第3にスケジュール感も重要です。個人に売却する際には、購入される個人の方もじっくり検討されたいことが多いですので、お時間がかかることがあります。一方で、不動産会社に売却する場合には、不動産会社は不動産購入のプロですので、比較的早くに不動産取引の段取りが進むことが多いです。もっとも、先に挙げた売却条件によっては、どうしてもスケジュールに影響が出てくることもあります(例えば、確定測量が必要な場合には、確定測量が完了するまで決済できないこともあります)ので、売却条件はこの点でも重要になります。
東京では規模の大きい不動産も多いですので、不動産の評価は特に重要になってきます。そのため、不動産が関わる案件の場合、不動産分野に精通した弁護士に依頼することが問題解決の近道になります。